ブログ
貯蓄から投資へ?
更新日:2022/06/11
最近の物価高は、エラいことになってます。
緩やかなインフレが歓迎すべきこととは
分かってはいるものの、それって所得も
上がっていく前提でのお話ですものね。
今は良くとも先行きに不安があるとか、
やっぱり増税路線へ大きく舵を切るとか、
その懸念がある限り賃金は上がりません。
だから国民は将来の支出に備えるため、
手元のお金を使わないんですよ。マジで。
なのに、「貯蓄から投資へ!」ですか。
まったく意味が分かりませんな。
投資とは、主に経済において
将来的に資本を増加させるために、
現在の資本を投じる活動を指す。
ということらしいです。言葉の意味では。
けれど、経済学では少し違うんですって。
実際に使われなかったお金はすべて貯蓄。
株を買う、外貨を買う、国債を買う…。
これらは形を変えたお金の持ち方とされ、
実は貯蓄に分類されます。何にどれだけ
割り当てるか、ポートフォリオという
言葉もありますが、あくまでも貯蓄です。
じゃあ、投資は何かというと…、
工場を建てる、機械設備を導入する、
在庫を増やす。住宅や学校を建設する。
これらは、将来的に資本を増加させる
ための活動。なのだそう…経済学では。
けれど、一般人じゃそんなことできません。
そのせいか、しきにりNISA(ニーサ)を
アピールする場面に出くわしますが、
「少額投資非課税制度」? 何か臭いますな。
NISAは株式や投資信託で得られた利益が
非課税になるため、個人の資産運用を
応援する制度と言われています。実際に
やってる人も結構いらっしゃるでしょう。
現在の非課税額は年間120万円です。
政府が言ってるのはコッチの意味かな。
お金のままで遊ばせてないで運用しろ!
そういう意味なんだろなと解釈します。
昔話で恐縮ですが、私がまだ子どもだった
今から40年ぐらい前は金利が高かった。
郵便局(当時)の定額貯金では最高約8%。
これだと10年程で約2倍になる利率です。
銀行でもそこまでではなかったけれど、
今の金利と比べたら、桁が3つぐらい
平気で違ってた気がします。
その後の30年で何が起きたのでしょう?
グローバルスタンダードに名を借りた、
強奪にも近い形で起きた富の流出がその答え。
日本は元々豊かでした。私の記憶を辿ると、
今より貧しいと思える昭和の後半でさえ、
昨日よりも今日、今日よりも明日は…と
希望を持って生きる活気がありました。
高度経済成長ははるか昔の出来事ながら、
それでも経済は好調でした。金融機関が
貸したお金は企業活動によって富を生み、
貸付金利による大きな利益を齎しました。
またそれを国民に対しては預金金利で
還元しました。だから我々国民は銀行に
口座を開き、「お金を預けた」のです。
本来は銀行へ自分のお金を「貸す」行為。
貸したんだから増やしてね…のハズが、
預かってくれて増やしてもくれる…幸せ。
そういう状況に長らくあったのです。
今からは想像もつかない輝ける日本の姿。
なので、悪い連中に目を付けられました。
配当を要求する「もの言う株主」の台頭、
それによる持ち合い株の解消、会社は
社員のものではないのが真の国際標準?
いわゆるグローバル全体主義的な主張に
日本国中が気圧され「バスに遅れるな!」
とリストラクチャリングを含めた改革を
進めた結果、外資に日本企業の株式を
大幅に取得されることとなったのです。
企業活動によってもたらされた富は、
社員の賃金に回されるよりも株主配当へ。
これが、この30年余り日本人の賃金が
ほぼ上がらない理由です。本当に残念。
水道、電気、ガス、電話、エアコン、
瞬間湯沸かし器、水洗トイレなど。
昔に比べたら、非常に便利な現代です。
優れたインフラやアイテムが揃っており、
殆どの人は生活に不自由を感じることが
ないかも知れません。けれど、この30年、
我々の所得はほぼ横ばいです。しかも、
消費税率が10%上がりましたから、
可処分所得は下がり続けているのです。
毎日の生活も、実はやっとやっと。
その上、残った僅かなお金までを
巻き上げようと画策しているのが、
「貯蓄から投資へ!」の本質ですよ!
正直、今の50代以上は大丈夫でしょう。
ただし、それは我々の先人たちが
必死で積み上げてくれた数々の恩恵の
上に胡坐をかいてるようなものです。
現代を生きる我々が判断を間違えると、
次の世代や、その次の世代が困ります。
何が正しいかを見極めるのは難しい。
目先の利益に目が眩むのは人間の性。
けれど、同じ過ちを繰り返さない。
今よりも傷口を広げないためには、
我々ひとり一人が賢くならなければ!
お金、人事、歴史を追いかけながら、
真実に近づく努力を継続すること。
耳障りのいい甘い言葉に騙されるのは
いい加減終わりにしないといけません。
将来の資本が、今よりも増えるように。