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高級魚?「サンマ」。
更新日:2023/10/01
今日からいよいよ10月、神無月。
異常なほど暑かった今年の夏も
彼岸を過ぎてようやくひと段落。
心地よい季節が到来したことを
歓迎しますが、胃袋の求めるは
秋の味覚。とりわけ旬の魚介は
本当に楽しみなのです。中でも
サンマは特に別格。秋刀魚とも
表され、まさに秋を代表する魚。
なのに、先月築地に初入荷した
サンマは僅か170キロ。昨年の
2割ほどだったそうで、卸値は
1匹2,500円の過去最高額を記録。
これだともはや、高級魚ですね。
庶民の味方じゃなかったのかよ?
サンマ自体の減少のみならず、
海流が変化して漁場も変わり、
これまでと同じ漁の仕方では
ダメだということなのかも?
日本では魚種ごとに定められた
漁獲可能量TACが設けられ、
(Total Allowable Catch)
総量規制を行ってはいるみたい。
ただしこれはダービー方式とも
オリンピック方式とも言われ、
早い者勝ち・獲ったもん勝ちの
色合いが強く、成魚になる前の
手の平マグロまで網で仕留める
残念な資源管理方法なのです。
生物学的許容漁獲量ABCから
(Allowable Biological Catch)
算出されているとは言うものの、
なぜかABC>>TACという
設定になっていない魚種もあって
現実的には水産資源を取りすぎる
傾向に歯止めがかかってません。
何でこういうことになるんだ?
哀しいかな…。誤解を恐れずに
言えば、それが日本の漁師だから。
農業と同様、一次産業の「声」は
非常に政治力が強く、政治家が
彼らの心証を害する政策判断は
なかなか出来ないものなのです。
その結果、どうなるかと言うと…
漁が許される期間と総量にしか
規制がないために、漁業者は
いかに早く漁場に辿り着くか、
そのためにエンジンを強化し、
余計な燃料を過剰に消費させ
小さな魚を奪い合うのだそう。
しかも、一旦網に入った獲物は
当然そのまま水揚げしますから、
獲り過ぎるのは当たり前ですね。
とはいえ、やっぱり自然が相手。
獲れるときは獲れるのですが、
そうでないときはもうサッパリ。
結果的に、豊漁だと値崩れする。
不漁だと油代持ち出しで丸損に。
平均年収は300万円ほどとみられ、
命がけで海に漕ぎ出す危険とは
あまりに釣り合わない職業だと
言われるのです。しかも昨今は
燃料代が爆上がりしているため、
その傾向は一層顕著でしょう。
一方、養殖業者の年収は約3倍。
市場へ供給する水産資源の量を
管理できるため値崩れしにくく、
休日も取れて働きやすい職場と
言われるまでになってきました。
けれど、すべての魚種にまで
養殖はまだ対応出来ていません。
世界三大漁場という言葉があります。
世界に多数存在する漁場の中でも
特に漁獲種の多い優良な漁場として、
カナダ・ニューファンドランド島沖の
グランドバング、ノルウェー沖、
そして日本の三陸・金華山沖です。
三陸沖は日本のEEZにすべて含まれ、
あまりに魚が多いため、一説では
「船が持ち上がった」という噂も
まんざら眉唾物ではないくらい。
結局、魚は漁場で獲るものです。
しかも日本には超イイ漁場がある。
(総量とサイズを規制するなど)
減少しない程度に資源を管理して
安定的に水産物を市場に出す策は
大いに検討の余地がありそうです。
ノルウェーでは一時期乱獲のため
水産資源が枯渇したそうですが、
たった2年間漁を休止しただけで
驚くほど魚が戻ってきたらしい。
さすがは、世界三大漁場ですね。
そして、漁船ごとに漁獲割当を
設けるようにしたら、良サイズの
魚のみを狙うために稼ぎは激増!
IQ(Individual Quota)という
漁獲可能量を漁業者や漁船ごとに
割り当てる個別割当方式によって、
都道府県や漁協単位的な制限枠に
縛られることもないので、漁場へ
急ぐ必要もない。それらの結果、
毎日出漁しなくても十分な収入が
得られるために、月火水の自分と
木金土の友人とで船をシェアして、
固定費を折半できることも奏功し、
年収はそれぞれ2千万円超に到達。
さらに、漁業の先進国ではITQ
(Individual Transferable Quota)
という譲渡可能個人漁獲割当量で
運用されるまでになり、漁獲枠の
譲渡などを原則自由化しています。
つまり、漁獲枠が「流通」する!
何とも夢のある話だなと思います。
当然、産卵時期には必ず配慮する
など一定のルールがあるとは言え、
皆で漁場を管理しながら安定的に
漁業を継続・運営していける今を
かつてのような競争一色の業界へ
戻したいとは誰も思わんでしょう。
福島原発の処理水放出によって、
中国は水産物の輸入を停めました。
「被害額は〇〇億円!」と過剰に
反応するのは腑に落ちませんが、
ジャーナリスト・櫻井よしこ氏の
発した意見広告には共感します。
日本の海産物が旨いことは超有名。
「食べたい!」と言う人は世界に
山ほどいらっしゃいますからね。
(なんちゃって漁師が出没する中)
妙な補助金を突っ込むことはせず、
国民がいつもより魚食を心がけて、
何とか漁業者を支えよう。そして、
嫌がらせをする中国に打ち勝とう!
中国人民も忘れているようですが、
乾燥させた日本の海産物がないと
中華料理はほぼ出来ませんから。
出汁を取るホタテ、高級食材とも
言われるアワビにフカヒレなど。
そういえば、ナマコもそうかな。
(K国であったビール騒動みたく)
類似品は手に入っても日本産品と
同等品質ではないため、おそらく
向こうが音を上げることでしょう。
事実、日本近海に中国漁船が現れ、
漁を行っているようです。なんと、
中国で水揚げするから「中国産」。
日本産は禁止するけど、それなら
OKなんですって。ホンマかいな。
放射線量が心配なら測ればいい。
ガイガーカウンターはあるだろ!
(東京五輪中に行った核実験で)
きっと中国の海産物や建築材料、
もしかすると人体からも検出か?
けれど、本当に考えるべきなのは
日本の漁業システムを改めること。
出たとこ勝負の一か八か。演歌の
歌詞さながらの従来型漁業のみで
この先もやっていくことは厳しい。
(日本よりも資源管理に頭を使う)
海外では漁業が人気の職業ですよ!
勘と経験が頼りだったところに
魚群探知機が投入されたのと同様、
昨今では網の中を観察するための
水中ドローンなるものも開発され、
魚の入りを確認した後に巻き上げる
漁法の研究まで行われているんだと、
ある政治家から伺いました。曰く、
政「今後はそういう勉強も必要です」
漁「じゃあ誰も漁師にならなくなる」
政「何故ですか?」
漁「勉強が嫌いだから漁師なんだよ」
政「……」
ある意味、真実かも知れませんが、
そればかりでは隣国人らの思う壺。
皆が現実に気づいて、我々日本の
豊かな海の、魚を、貝を、甲殻類を
後の世代に受け継がねばと考えます。
現代のサンマが、かつてのニシンと
同じ道を歩まぬように祈るばかり。
好きな人は1匹5千円でも買うのかな…。
けど、高級魚よりも旨い旬のサンマ。
出来れば脂がのった良サイズの品が
1匹2百円程度で市場に出回らんものか。
水温の低下とともに北海道近海から
次第に南下してきていると聞きますが、
黙って日本にだけ好きに取らせるとは
(汚染水云々で嫌がらせはするものの)
到底思えません。漁獲制限は量以外の
サイズにも設けるなど、業界団体は、
近隣諸外国とも良好な関係を築いて、
永続的な資源確保にご尽力願いたい。
「友情」はアカシアの花言葉ですから。